□ 門出

初めて出会ったとき、君はまだ中学3年生だった。

一際顔の可愛い男の子をテレビ画面の向こう側から見つけたあの瞬間のことは今でも忘れない。

ただ、大学生のわたしにとっては中学生の子を応援するなんてとても考えられなくてしばらくは踏み込めずにいた。

葛藤を少々抱えながらも「もっと彼のことが知りたい」と出演しているレギュラー番組を見てみたり、過去の放送や歌って踊る姿を日々見漁るなんてことをしているうちに、君の魅力にどんどん惹かれていって「好き」が大きくなっていった。

歳の差とか関係なく純粋に「応援したい」と思った。

そんな君は中学生であるにも関わらずステージには先輩たちに混じって先頭に立っているのを見て驚いた。けれど実力はそんな先輩たちと一緒にいても全く劣らないどころか一番しっかりしているのではないかと思えるほどでまた驚いた。

「中学生」この肩書きが君を苦しめたこともきっとたくさんあったのだろうと維新を読んで改めて感じた。

普段は「みなさんより若いので〜！」なんて笑いに変えていたけど、いつも一緒に舞台に立っている人たちの隣で踊れないというのはすごく辛いことだったと思う。

そんな君から「高校」という言葉をよく聞くようになった。「そうか、もうそんな季節なのか」なんて思いながら、いろんなところで高校について話をするのを見ていた。

小学生、中学生の君を知るわたしたちは「もう高校生なんて...時の流れ早すぎ...」と少し寂しい気持ちを持っていたけれど、ちゃんと友達ができるのか、高校生になったらこんなことがしてみたい、など高校生になり新しい生活が始まる多少の不安とドキドキを楽しそうに語る君を見て、君の高校生活がとても充実した素敵なものになればいいなと心から思った。

そして春、君は高校生になった。

君がドキドキしながら通っているのを思うと、わたしも同じようにドキドキしてしまってつい「早くお友達ができるといいな」「勉強ついていけてるかな」なんて親みたいに思ってしまうこともしばしばあった。

しばらく経つと、高校生活についての話をしてくれることが増えてきた。友達ができるか不安だと通う前に何度も言っていたけど、放課後に友達と映画見たりカラオケに行っていると話しているのを見て心底安心して喜んだ。親。

それからも、毎朝5時起きして高校に通っていること、電車で立って寝れるようになったこと、テスト前は電車で暗記していること、友達の案内で初めて食堂に行ったこと、遅刻しそうなときはバス停まで走っていること、高校での楽しいこと頑張らなきゃいけないことを見てたくさん話してくれて、そんな話を聞くたびにわたしも嬉しくなったし頑張らなきゃって思った。

高校生になってからの関西Jr.の活動も大きく変わったと思う。本当にいろいろあったけど特に印象強い３つ。

まず一つ目は「17年クリパ」

君が座長となって作り上げた公演。今まで一緒にステージに立つ先輩がいたところに、今度は自らがセンターに立って後輩を引っ張っていくステージ。高校1年生16歳が責任を担ってセンターに立つのはとても大変だったと思う。幕が開く5分前にふと「お客さんがおらんかったらどうしよう」と思ったというくらいだから。でもそんな姿を千秋楽まで見せずにやりきった君はとても立派だった。格好良かった。素敵な景色を見せてくれてありがとう。

二つ目は「ミュージカル 魔女の宅急便」

初の外部舞台。役になりきるために普段からだて眼鏡をかけたり髪も茶髪にするなどして挑んだ。周りは舞台経験豊富な役者さんばかりでプレッシャーもあったと思うけど、歌い方やセリフ回しも日に日に上達していくのが分かったし、トンボになっていく姿を見るのが楽しかった。何度でも観に行きたいと思える作品だった。

三つ目は「なにわ男子 結成」

関西Jr.に久々にできたグループ。一度グループがなくなっている君にとってこのグループに入れたことはとても重要なものだったと思う。初めはなかなか受け入れてもらえずに苦しい思いもしていたけど、それでも君も他のメンバーも前だけを見て必死に走り続けた今、どこにも負けない強くて大きいグループになった。この7人で絶対に夢を掴み取ってほしい。

他にもオリパラ団として様々な競技やイベントに参加したり、今まで出たことがなかった全国放送の番組に出演、大阪万博を盛り上げるイベントのスペシャルアンバサダーに就任、24時間テレビ関西支社のサポーター就任、なにわ男子として初の全国ツアー、紅白歌合戦に出演、単独で大阪城ホール公演、京セラ公演、大阪万博の有識者に選ばれて会議に参加.....この高校3年間で本当に本当にたくさんの経験をすることができたと思う。

学業と両立してこの仕事をこなしていくのはとても大変だっただろう。それでも、卒業が近づいていた最近はわざわざ早く学校に来て友達と食堂で朝ご飯を食べたり、最後の体育の授業でバドミントンに全力で挑んだり、最後のテストだから楽しむ、とか忙しくても最後の最後まで高校生を満喫して楽しんでいた。

そして今日、高校を卒業。

充実できたかな。思う存分楽しめたかな。

思い残すことはないかな。

小学生、中学生、高校生

学業と両立してアイドルをするのもきっとこれが最後だね。

今まで両立してたくさん頑張ってくれてありがとう。

学校での素敵な話をたくさん聞かせてくれてありがとう。

学生じゃない君なんてまだ想像ができないけれど

これからも君らしくずっとキラキラしていてね。

大西流星くん、高校卒業おめでとう。

Fin